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世界でいちばん優しいロボット

 

3人の仕事を紹介。「ゆめはパイロット」の石原紳伍は、くし焼き屋の家に生れ、学生時代はラグビーに熱中。就職してからは営業を経験する中で、自分の会社も営業先の店も利益をあげる営業を考えるようになる。独立後、偶然コロンビアで質の良いカカオに出会い、チョコレート専門店を立ち上げる。カカオはコカの産地と重なることを知り、コカ栽培に手を染めなくても良いように継続契約や、その地での学校設立支援などを行う。「魚をにがす漁師」は神奈川の齋田芝之さん、アナゴの筒漁で成功するが、漁獲が減る中で水産技術センターと協力。小さいアナゴを逃がし、大きなアナゴだけがとれる筒の開発に成功する。大きな穴ではアナゴがとれないのでは、という漁師の反発と机の上の研究的な要素も残る研究者が歩み寄り、共に実地研究をして、納得して小さなアナゴが逃げられるワナを開発するところがよい。穴が大きい罠は水はけが良いため、引き上げ時の負担が楽になるなど理想ではなく現実的なメリットで人を動かすのはとても大切! 「世界でいちばん優しいロボット」は引きこもりを経験した吉田健太郎が、ものづくりは好きだったことから、それを活かして工業高校に進み、さらに孤独から救われる仕事を考えるようになる。その中で「分身ロボット:オリヒメ」の開発を始める。病床から離れられない子どもが、家で家族と過ごす気持ちを味わえ、体を動かしたり外出できない病人や障がいのある人が外を出歩く喜びを知り、分身ロボットで仕事を経験する。この内容はニュースできいたことはあるが、なるほどこういうことだったのかと読んでみてやっとわかった。まわりを幸せにして自分も幸せになる仕事に携われることは幸運ですね。