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ゴリランとわたし

 

スウェーデンの児童文学。こどもの家ヨモギギク園で暮らしているヨンナは、9歳のある日、突然子どもを引き取りたいと来たゴリラのゴリランに引き取られることになってしまった! おそろしいオンボロ車でたどり着いたのは、これまたひどい家。ゴリランは、庭にみんながゴミを捨てにくるのに値をつけて売っては暮らしをたてていた。ゴリランに何をされるかビクビクするヨンナ。ヤード園長が見たら卒倒しそうな乱雑な家。だが、ヨンナは新しい暮らしが気に入ってくる。けれどもゴリランが住む土地を狙う開発業者のトードのせいで、二人は追い詰められていく! なにしろゴリラなのだから、周りとは違いすぎるゴリラン。一緒に歩くだけでも恥ずかしくてたまらなかったヨンナ。だがヨンナは、少しづつゴリランの視点で周りを見るようになる。奇想天外な設定が、ひどく現実的なのは、今、私たちとは違いすぎるけど実は素晴らしい隣人がいることに気づかないで差別する人間が多い社会だから? 長編だが、読み聞かせをしてあげたら、主人公と同じ9歳位からとても共感をもって読んでくれる気がする。