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わきだせ! いのちの水

 

大野篤志さんは、交通事故で大けがをしたことをきっかけに、自分の生き方を考えた。そんな折、アフリカで上総掘りという機械を使わない伝統工法で井戸を掘るプロジェクトを知る。祖父が上総掘りの名人だったということを聞いていたこともあり、そのボランティアに志願した。試行錯誤をする中で。部品を現地で手に入るものに置き換え、名称も現地で通じる英語とし、現地の人間にやり方を教えた。だが、名称や部品が変わることで上総掘りとはいえないと指摘されたり、せっかく育ててあとに残した現地の技術者が、井戸掘りがうまくいかなかったことをきっかけに部品をもって消えてしまう事件も発生する。さまざまな苦労をしながら基本はボランティア(本業は保険代理店)で続けた大野さんはすごいが、それを可能にした背景ももうちょっと知りたいきがした(本業をどうやって行ったのか、私生活はどう営んだのかなど)。その地にあった、継続可能な技術での支援の重要さを思う。