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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

サステナブル・ビーチ

 

七海は小学校6年生の男の子、母ちゃんはアメリカ人で新聞社でバリバリ働いている。父ちゃんは日本人で料理が得意。昔はレストランで働いていたけど、今はケータリングといって、注文された料理を届ける仕事をしているので基本在宅だ。見た目が他の子と違いハーフといわれるけど、父ちゃん母ちゃんはダブルだという。なんにしても見かけが違い、目立つのが嫌でたまらない。夏休み、母ちゃんといったハワイでは、他の人と違うことなど気にせずにのびのびと過ごせた。そこで海のゴミをアートにしているオーガストという年配のおじさんと出会い、さらに同い年でベトナムから移住したピカケという女の子と出会って仲良くなる。二人から教えてもらった海を大切にする思いを胸に帰国。夏休み、作文と自由研究で環境問題に取り組み、川辺のゴミを拾って調べはじめた活動が、大きく広がる。見た目による差別、男女のジェンダー、環境問題といろいろなテーマが入っているが、七海が物語を動かす駒のように感じられた。見た目でいろいろ言われる問題だけでも、本当にいやな部分や、成長の節目の中での変化があるのではないかと思うし、それに関係する友人関係だってあったと思う。また、小学校6年で英語はほとんどできないように書いてありながら、実際はかなり複雑な会話を現地でしているのも、なんだか都合がいい気がした。七海が送ったメール(英語で書いたという設定で日本語で書いてある表現「ぼくの英語がすこしずつうまくなっているとわかって、とてもうれしい」など)これ英語で浮かばない私です! 最後のクライマックスは、ピカケちゃんのけがと回復だけど、ピカケちゃんがかわいいことはわかるけど、ハワイで家族と暮らしているリアルな暮らしが浮かばない。よみやすいけれども、登場人物が心の中で生き続ける感じがしない。