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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考

 

「美術」は、小学生から中学生になって嫌いになる科目1位だそうだ。美術教師の著者は、描く・つくるの「技術」と芸術作品についての「知識」偏重型の教育が個々の創造性を奪っていると見立てる。

予測不能で複雑な現代社会においては、だれにとってもアート思考が必要で、子どもも大人も「最優先で学ぶべき教科は美術である!」と主張。6コマの授業で、20世紀以降のアート作品についての探求例を挙げながらエクササイズを提供し、「自分のものの見方」「自分なりの答え」を生み出すアート思考を体験させる。実際行った授業では、中高生のコメントがすでにアート思考を失っていて、ある意味大人になってしまったんだなと感じる。

アートを植物にたとえているのも、おもしろい。「表現の花」の下に、自分だけの「興味のタネ」があり、「探求の根」を四方八方に伸ばした結果が、ある時1本に結実する。花はなかなか咲かないこともあるが、「自分の興味」に向き合っていれば必ず結実するのだ、と。 教育を”つくる”側の大人が読むべきと思いました。 (は)