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アイヌの昔話

 

祖母からアイヌ語で昔話を聞いて育った萱野茂が、戦後、録音して集めた昔話のうち20話。最後の「罰当たりシリマオッテ」はアイヌ語でも収める。
副題となっている「ひとつぶのサッチポロ」は、サッチポロ(産卵直前の鮭の卵を干したもの)という貴重なお菓子は一粒ずつ食べないといけないのに、きつねの化けた娘が口いっぱいにほおばったことから正体がばれるという話。
「女神のお守り」は、虹の由来譚。お嫁に行くことになった女神が、むすめだけがもつお守りひもを織ったが、使ってはいけない色糸を使った罰として大地の下の国へ落とされ、七色のお守りひもは人間の住む大地へ投げおろされた。だから虹は、女神の涙である雨とともに現れるのだという話。
「家出した犬」では、語り手が、人間の女→飼われている犬→犬が家出して出会った若者と代わっていき、一人称で語るアイヌの昔話の特徴をよく表す。
「暇な小なべ」、「貧乏アイヌとユカラ」は、それぞれ『熊神とカパラペポンス』(小峰書店)『ひまなこなべ』(あすなろ書房)、『パヨカカムイ』(小峰書店)の絵本にもなっています。 (は)