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黄色い星 ユダヤ人を守った国王とデンマークの人たちの物語

 

ナチスに占領された小さな国デンマークの抵抗の物語。「ヒットラーカナリア」(ヒトラーのために歌を歌う小鳥)とも言われながらも、宮殿にナチスの旗を掲げず、国内に住むユダヤ人を国民として守るために、ユダヤ人に黄色い星をつけさせろ、という命令を、国王自らが黄色い星をつけることで無効化した物語。これらは、歴史的事実というよりは伝説といってよいと巻末に書かれているが、実際に多くのユダヤ人を守り抜いた。弱い人間でもできる抵抗として、胸を打つ。

軍事が強い国だけが勝利するのではないと私たちに教えてくれる物語。

それにしても、国王の国のシンボルとしての役割とは、単なる儀式ではなくて、こうした行動ではないかと思わされた。