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クロックワークスリー マコーリー公園の秘密と三つの宝物

 

難破船の漂流物で素晴らしいヴァイオリンを見つけたジョセッペ。彼はイタリアからアメリカに来て、大道芸人の親方に売られ、路上で演奏をして稼いでいる。拾ったヴァイオリンの美しい音で一気に稼ぎが増えたジョゼッペは、ヴァイオリンと稼ぎを隠し、イタリアに帰る金を貯めようと考える。ハンナはホテルで下働きをしている。かつては腕のいい石工だった父親は中風で寝たきりになり、母は看護でつきっきりとなり、妹たちはまだ小さい、ハンナの稼ぎと、かつての持ち物の切り売りでなんとかやりくりをしている。そして時計屋の徒弟フレデリックは、その才能で親方に評価されているが、孤児院で酷使された過去が、常に彼を警戒させている。いままで職人として認められる徒弟を育てたことのない親方を、本当に信用できるのか? 偶然のことから知り合ったこの3人は、しだいに互いを理解し、助け合って行くことになる。キイワードはマコーリー公園の宝。ホテルと隣接するこの公園に隠されている宝を探せば、ジョゼッペはイタリアに帰れ、ハンナは父親を医者に見せられる。フレデリックも職人への最終試験のための研究や材料費が手に入る。だが、宝を狙うさまざまな陰謀、ジョゼッペを支配する親方、自動人形製作を行う謎の男など、次々にトラブルが発生。事件の連続だが、わき役もおもしろく、ページは多いが一気に読んでしまう。