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さいはての島へ ゲド戦記Ⅲ

 

 

世界がおかしい。魔法が消え、人々がすさんでいく。モレド家の国王は、王子である息子のアレンをローク島に派遣した。今は大賢人となったゲドは、世界を救うために、アレンと共に禍の原因をさぐろうとはてみ丸に乗って旅立つ。初めて読んだときは若かったので、ゲドを老人としてイメージしていたが、今回読んでみて、そうかこの時のゲドは50代位だったのだ、と再発見してびっくり。過酷な旅に痛めつけられ、アレンに支えられたり、看病されたりすることもあるけれども。同時に操船をアレンに指導したり、街中で巧みに立ち回ったりとしています。ゲドと共に歩むなかで迷いながら成長するアレンの姿や、ゲドに助けを求めにやってくる竜も印象的。そして、死を恐れるために生と死の境に裂け目を入れてしまったクモとの対決。物語が予言の成就になっているラストまで、きっちりとまとまっている。