児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

春の妖精たち

 

「春のはかない命」という意味のスプリング・エフェメラルと呼ばれる、植物があります。フクジュソウカタクリアズマイチゲなど、まだ雪の残る林の地面に顔をのぞかせる小さな花たちです。これらの植物は、1年の大半を地面の下で過ごし、地上に姿を見せるのはたった2か月ほど。林の木々が葉を広げる前に、太陽の光を存分にあびて、花を開き、種をつくり、次の年までの養分を貯えてしまうという、生存作戦なのです。土にもぐったその年の秋にはもう根を伸ばし始め、芽をつくり、深い雪の下で着々と準備を整えているようすを、断面図でわかりやすく描き、植物も生きている!と実感させます。 (は)