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家をまもる(たくさんのふしぎ2022年4月号)

 

家に守られている私たちの暮らし。その家を守るため、世界の人々がしてきた工夫を写真で紹介する。
日本と同じく「地震の巣」とよばれるインドネシアのニアス島。木造で藁ぶきのような家は、一見すると軟弱そうですが、マグニチュード8.6の地震にも倒れなかったという優れもの。床を支えるたての柱にななめの筋交いを何本も組むことで、揺れを吸収する仕組みです。屋根は壊れてもすぐにつくり直せるそうで、日本でも江戸時代まではそういう考え方だったなあと思います。

また、現在のコロナ禍と思いが重なるのは、「絵でまもる」として紹介される、オーストリアのホルツガウ村。壁に聖人やキリスト、聖母マリヤが描かれています。たびたび流行したペストを避ける願いがこめられたという。最初に流行した6世紀のペストは200年ほど続いたそうです。

ほかに、防虫成分を含む藍を塗ったインドの家、雨期に水没しないよう床を高くした(入口は2階くらいの高さ)カンボジアの家など。人間の襲撃から身を守るため入口をしめて「閉じこもる」ことでしのげた時代、地域もあるようですが。
家「を」守る、という切り口がおもしろい。 (は)