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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

絵本の記憶、子どもの気持ち

 

「子どもはどうして絵本が好きなの?」「子どもにはどんな絵本がいいの?」という疑問に、大学生がレポートに綴った幼い頃の思い出と、著者が家庭文庫で見てきた子どもの姿から説き明かす。

大好きなおとな(お母さんやお父さん)に読んでもらった声と読み方とともによみがえる幸せな記憶。子どもにとって絵本の世界は「本物」なので、『ぐりとぐら』のカステラの絵をなめたり、においをかいでみたり。絵本をよんでもらった後「ああ、くたびれた!」「のどがかわいた」と言うのは、主人公と一緒に大活躍したからだったり。逆に、戦争の絵本を「お化けよりこわい本」として忘れられないのは、おとなが共感しやすいテーマとのずれがあること。

100ページほどのコンパクトさに、実体験からくる言葉と思い出の絵本がふんだんに引用されて、わかりやすく説得力がある。「絵本の力」「子どもの力」を信じて、できるだけ読んであげて、あとは見守っていればいい、とまとめています。 (は)