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火星のライオン

 

火星のアメリカ入植地に暮らすベルは11歳の男の子。5人の子どものうち最年少だ。他には大人が6人、猫が1匹いる。火星には他にも各国の入植地があるが、リーダーのサイは、他国との交渉を立っている。理由は二つ、地球からの指示! 地球では今、南極の資源をめぐって紛争が起きているのだ。当初は本国からの指示にもかかわらず交流を続けていたのだが、あるとき同僚のリタが、他国の2人とでかけ、一人で死んだまま放置されるという事件が起こっってからきっぱり断行した。でも、ベルはそんな過去の交流は知らない。少し前まで仲良しだった14歳のトレイは、最近はサイに認めてもらいたがり、大人ぶって相手にしてくれないのが悩みだ。ところが、ある時トラブルが発生。補給船到着直後に、大人だけが次々に病気で倒れてしまった。地球に助けを求めても、次の補給船は8カ月後。トレイとベルは二人で他国の入国地に助けを求めに行くことになったが、途中バッテリー切れでトレインが止まり閉じ込められる。隙間から出られるのは小さなベルだけ、ベルはたった一人で助けを求めに走ることになった! 孤立した火星コロニーという設定は面白いが、SFとして見るとちょっとツッコミどころが多いかもしれない。未来なのに、登場している技術が、ほぼ今と一緒! でも一所懸命なベルが頑張るようすは感じが良く読めた。