児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

おとうさん、お元気ですか・・・

 

ソフィーのおとうさんは、世界中の荷物を運ぶ船で、1年間にわたる長い航海に出かけています。文章は、ソフィーの手紙でつづられます。


おとうさん、お元気ですか。今日は雨ふり。でも、わたしは、真っ赤な長ぐつでごきげんです。
弟のティミィにまた歯が生えました。ぜんぶで6本です。
わたし、ピアノをならうって決めました。ピアニストになったら、おとうさんのように世界中をまわれるでしょ。

見開きの画面を2段に分けて、メインとなるソフィーの家の四季の変化を定点で描き、その上段に船上や外国での父親の様子が、同時進行で読者に見えている。最後に、おとうさんが帰宅する場面に文章はなく、おとうさんの乗ったバスの遠景から、家の前に着いたバス、段を下りるおとうさんの足、そして抱き合うソフィーとおとうさん。上下が同じ場所になったとき、遠く離れていた日々を経た実感を、読者もあじわいます。 (は)