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おひさまのたまご

 

夏のある日、森の妖精は、丸くて大きなだいだい色のものが落ちているのを見つけました。妖精は、おひさまの卵にちがいないと思って、森のなかまに知らせます。友だちのコッテやねっこじいちゃん、ふくろうにかえるたち。みんなでおひさまの卵をかこんで、けんけんごうごう。卵がかえったら森が燃えてしまう?水の中でかえした方がいい?するうち、ズアオアトリが飛んできて、これは南の国にたくさんあるオレンジで、中においしいジュースがつまっていると教えます。草のくきを差してすってみると、なんておいしいんでしょう!その時、いやしんぼのカラスがさっと舞い降りてオレンジを取ってしまったのです。妖精が泣いていると、ツグミがなぐさめ、南の国へ連れて行ってくれました。森のみんなの間に、ひととき物議をかもしたこのオレンジ。実は、森へ野イチゴつみに来たラッセ坊やが、かばんから落としたものだったのでした。

まえがきには、ベスコフ自身の「子どもの頃のこと」。ひときわ輝いて思い出される夏の日々。そして、6歳の頃にはもう、お話の本を描きたいと思っていたこと。