表題話は、村のおきてを破って結婚した星占い師と娘。日照りがつづくのは2人のせいだと村人たちが家に押し寄せると、七色のけむりが天へと立ちのぼり、2人は美しい虹になる。
「プリア・ポカ」は、シンデレラ話。貧しく美しい娘が、7人のおばから毎日いじめられるが、7人の天女の助けで織った美しい布を決め手に王子と結婚する。
「マホロイの狩り人」は、森で竜の姿を見てしまったために竜の化身にされ、同時に永遠の若さも手に入れて村へ帰った狩人が、孫たちに不死身の秘密を明かしてしまったとたん、みるみる巨大な竜に変わり、河の底へ姿を消す。
大小3000もの島々からなる”海の国”インドネシア。編訳者の菊地三郎氏は、うらしま太郎の竜宮城のような景色に、日本との深いつながりを感じたという。一方、イルカや小鹿のカンチル、リスなどが登場するのは、やはり独特。昔話のほか、実際の地名や人名が登場する伝説を21話収める。
あとがき解説に、菊地三郎氏の経営する「アジア・アフリカ語学院」でのエピソードがある。日本語劇「桃太郎」を脚本・演出した中国人学生。鬼ヶ島(他国)侵略の結果、桃太郎が得た嫁はとても腕力が強く、桃太郎は朝から晩までこき使われましたとさ・・・というラストだったそうです。 (は)