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建築家になりたい君へ(2022課題図書高校生)

 

新国立競技場を建設した隅研吾氏が、自分が建築家になった経緯を自伝的に書いた本。小学校4年で当時の国立競技場の建築を見て夢中になり、大学は建築学科に進むが、アフリカの建築に憧れて調査にいったり、主流とは少し違うところで歩みを始める。バブル後、東京では仕事がなくなりながら、地方で、その地域に合った建築、地域や施工主に納得してもらえる建築を志向していく。予算0円の石の美術館(石屋の施工主が、石と職人を提供!)や、中国で建てた、同じく赤字となった「竹の家」を建てていく。新しく建てることによって、周りに迷惑を描けるかもしれないという問題から逃げないという建築姿勢はユニーク。流行しているものと同じものを作らない、という教えはその通りと納得。進路や生き方を考える中高生の刺激になってくれる本。