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ケケと半分の魔女 魔女の宅急便特別編その3

 

魔女の宅急便の登場人物ケケが書いた作品、という設定だが、その設定をのぞいたら『魔女の宅急便』とは関係ない!? とも言えるので、販売戦略でつけた? と疑ってしまいました。 物語は母親がいないタタが主人公。月を見ても常に半月しか見えないタタは、いろいろなことに反發し、15歳で家出。電車を「終点」に向かって乗り継ぎ、不思議な森にたどりつき、不思議な出会いをする、という感じの物語。こうした物語が好きな方もいるとはおもうのだが、私は、読むのがかなり辛かった。筋らしい筋があまりないし、物語のリアリティがなさすぎ。例えば早々にいろんな服を買いまくるシーンがある。父親が後でお金を払ってくれるから高価な服を買いまくる。え? 父親はどれだけ金持ち? 高級店が未成年に何でも売って犯罪じゃないのか? それともこれはタタの空想? とのっけからつまずいた。途中の旅も、食べ物、トイレ、お風呂などの日常生活の維持が、ほとんどなく、森の中で突然お腹がすいて、じゃがいもをもらうけど料理ができなくて投げ出したりする。そのあと、外で草を食べようとするけど、おい、それなら生のままでもじゃがいも食べようとするのが先じゃないのか? 等々。イメージやことば遊びは面白いところもありますが、物語にこだわるタイプの子にはオススメしません。