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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

13枚のピンぼけ写真

 

1914年。戦争の始まりはイオランダの運命を大きく変える。イタリアの田舎の村からオーストリアに妹以外全員で出稼ぎに出ていた一家。父と兄二人は線路工事の仕事、母とイオランダは紡績工場、でも全員仕事を失って村に帰ることになった。妹アマファルダと会えるのはうれしいけど、全員仕事がなくなり、男たちは落ち着かない。だが、すぐに徴兵が始まった。長兄が出征、戦争の英雄に憧れて次兄もその親友で幼馴染のサンドロも工兵に志願して行ってしまう。父親も徴兵された後、村で駐留した兵から母はちょっかいをかけられ、拒絶したせいで、その金髪を理由に敵国のスパイ容疑での逮捕という嫌がらせをしてきた。妹と二人で残されたイオランダは、母が残したメモで、見知らぬアレーデおばさんを訪ねていく。そこで今まで知らなかった母方の祖母の存在を知る。村人のために奔走してくれる親切なアンドレア司祭。味方の不注意で起きた弾薬庫の大爆発による大きな被害が全く報道されないことへの憤慨、腹立たしいことばかりするのに気になるサンドロ。進攻の中で逃げ惑う人込みでの過酷な体験や、敵兵との遭遇。1918年の終戦までの不安な毎日の中でも、確実に成長していくイオランダの姿がとても魅力的。