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火山はめざめる

 

浅間山をモデルに、昭和、江戸、平安、2万5000年前と、噴火の歴史をさかのぼる。
昭和時代は、しばしば噴煙が上がり火山灰が降ってすぐやんだ。何度も繰り返すが1回の噴出量は少ないブルカノ式爆発というそうだ。登山者が熱の残る岩でお茶をわかす姿が描かれ、比較的のどかに見える。

200年前の江戸時代。上空高く大きな傘のように立ちのぼる噴煙。軽石が3日間降りつづき、大きなものは人の頭ほど。軽石に打たれた若者が死亡したという。

900年前、平安時代火砕流が時速100kmで流れ下り、森や村を埋めつくした。大地は何年も熱を持ちつづけ、雨が降るたびにゆげが上がったそうだ。やがて、植物が芽吹き、虫や鳥、けものたちがやってきて、火山は眠りこんだ。

はるか2万5000年前の氷期に起きたのは山体崩壊。山が丸ごと崩れ、雪を頂く山頂がなくなった。土石なだれは50km先までとどき、現在の前橋や高崎一帯の平野をつくった。
火山は、普段は静かに眠っている。ゆげを出しながら、うとうとと。でも時どき・・・100年から何万年かごとにめざめると、ものすごいエネルギーを爆発させる。

挿絵は、水彩のやわらかなタッチだが、噴火のさまは迫力満点です。 (は)