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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

和ろうそくは、つなぐ

 

和ろうそくは「どうやって作られ、なにからできているのだろう。」という疑問から、「モノづくり」をたどる著者の旅がはじまる。

愛知県の和ろうそく職人を皮切りに、ろうの原料であるハゼの実を収穫する長崎県へ。ろうそくの芯となる和紙は岡山県、和紙に巻きつける灯芯は奈良県、そして芯の仕上げに薄くかける真綿は滋賀県へとめぐる。

でも、そのつながりは、この一筋だけではない。ろうのカス(ハゼの実をしぼった後のろうカス)を利用する藍染め職人からつながる、もう1つの道筋も、著者はたどる。

それぞれの工程での小さな循環と、全体のつながりでの大きな循環。各々の職人が言う「捨てるものはひとつもない」という言葉を、しかと実感させてくれる写真絵本です。 (は)