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子どもの本で平和をつくる~イェラ・レップマンの目ざしたこと

 

戦争で荒れ果てた町を、弟の手をひいて歩く少女アンネリーゼ。ある建物の入口に行列を見つけて入ってゆくと、そこにはさまざまな国の子どもの本が、数えきれないほど並んでいました。アンネリーゼは、死んでしまったパパと通った図書館を思い出して悲しくなります。そのとき、1人の女の人の声が聞こえてきました。その女の人は、子どもたちを集めて本を読んでくれました。花が好きで戦うのは嫌いな牛フェルディナンドや、力持ちの女の子ピッピのお話など。その夜アンネリーゼは、弟にせがまれてお話を語って聞かせます。そしてアンネリーゼも、久しぶりにいい夢を見て眠れる気がしたのでした。
伝記絵本っぽいタイトルなのに、主人公はイェラ・レップマンではないことに混乱します。巻末の解説や、本書の売り上げの一部がIBBY国際児童図書評議会。レップマンが設立。)の基金に寄付されるということからも、子ども向きではありません。大人が読んで知るきっかけにし、レップマンについては『子どもの本は世界の架け橋』(こぐま社)や『子どもの本がつなぐ希望の世界』(彩流社)の方を、ぜひ読んでもらいたいです。 (は)