児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

飛べないハトを見つけた日から

 

12歳のダリルが、友人のギャリーと公園で遊んでいるときに見つけたのはケガをした飛べないハト。思わず家に連れ帰り、飼いたいというが、両親には猛反対される。だが、レース鳩だとわかり持ち主を調べようと、近所でレース鳩を飼育しているダッキンズさんという老人をたずねると、持ち主に連絡してくれるが、飛べないなら安楽死と言われる。どうしても死なせたくない。死んだと言って飼わせてほしいと再交渉の末、ダッキンズさんに教えてもらって、なんとか飼育を開始した。だが、なんと本来の持ち主の息子スピゴットさんの息子は同じ学校の上級生。鳩のことを気づかれ、父親にバラすとおどされて、パシリにされ、お金を巻き上げられて、ついに親の財布にまで手をだしてしまった。チェロキーとなずけた鳩は順調に回復。ダリルは、レースに出して賞金を稼いでなんとかお金を工面しようと思いつくのだが、果たして? という物語。夢中になるあまり、誰にも助けを求めずに、パシリになるダリルの姿はちょっと痛ましい。そして常に一緒につるんでいるおふざけ気味のギャリー。入り浸って、しょっちゅうご飯を食べさせてもらっているけど、この子の家大丈夫? と大人目線でいろいろ心配してしまう。結果的には、視野の狭いダリルが気づかなかった常識のせいで、無事にいろいろな物事が解決する。そういう安心感はうれしいかと思う。