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オノモロンボンガ

 

むかしむかし、日照りがつづいて動物たちが困っていると、1匹のカメが不思議な夢をみました。ものしりおばあさんを訪ねて、夢の中で大きな木にたくさんの果物がなっていたことを話すと、おばあさんは、「そのまほうの木は本当にあるよ」と言って、道順を教えてくれました。その木の名前は「オノモロンボンガ」。
カメは、さっそく出かけます。「オノモロンボンガ、オノモロンボンガ」と唱えながら。途中、ライオンやゾウやガゼルが、自分の方がその役目にふさわしいと言って出かけますが、誰も最後まで木の名前を覚えていられません。

ゆっくりでも着実に歩をすすめたカメは、まほうの木までたどり着き、「こんにちは、オノモロンボンガ!」と呼びかけました。うわさを聞いて集まったほかの動物たちも声を合わせ、声はどんどん大きくなり、とうとう木のてっぺんまで届きました。

するとまほうの木は、いろいろな果物が実った枝を下までおろしてくれたのです。バナナやマンゴー、パパイヤ、オレンジ。動物たちは、おなかいっぱい食べ、果物のたねをあちこちに運びました。おかげでいまは、誰もがいつでもおいしい果物を食べられるようになったのです。 (は)