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世界じゅうの女の子のための日

 

カメルーン出身の少女の訴えがきっかけだったという「国際ガールズ・デー」10月11日。記念日制定までの長い道のりと、なお困難のつづく世界中の女の子たちの現状を、9人の子の象徴的な事例で紹介。紹介される架空の女の子たちは、勇気を出して行動し、周囲を変えることに成功している。
ブラジルの伝統武術に魅せられて男の子にまじって鍛錬する子、カナダで先住民のための学校を建ててほしいと訴え政府を動かした子、障がいがありかつ女の子という理由で外出がままならないロシアの子は、コンピュータ・ゲームを使ってまちづくりの提案をし、市議会に採用された。
女の子特有の差別や不平等・・・十分な教育や医療が受けられない、暴力や虐待、若い結婚や出産。さらに障がいや少数民族、難民、戦争や紛争といったことが、問題を複合的に難しくさせます。
記念日の意義や活動を知らせる、パンフレット的な役割の絵本に思うので、対象となるべきは、おとな。もちろん、女の子が読んで、私も声を上げたいと勇気を得ることもできるでしょうし、男の子でも誰でも手にとって考えるきっかけに、と思います。 (は)