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森はだれがつくったのだろう?

 

アメリカ、マサチューセッツ州の森の200年の歴史。平らに開けた緑の地が、うっそうとした森へと育つ過程をたどり、世界中の森に共通する成長のしくみを見せます。

人の去った開拓地に最初に生えるのは雑草、つづいて実のなる低木。草や実を食べに鳥や小動物がやってくる。

5年たち、最初の木(パイオニアツリー)の苗が育ち始める。太陽の光がたくさん必要な陽樹と呼ばれる種類の木だ。それに続いて鳥や動物たちも、草原に暮らすものから低木林にすむものへと変わる。

20年たつうちに大きく成長した陽樹。根元に陽光が届かなくなるため、つぎに増えてくるのは日陰を好む木だ。陽樹がつくる陰のおかげですくすくと育ち、木の種類がまざった森ができてくる。

そんなある日、森を嵐がおそい、雷にうたれた木が倒れた。ぽっかりと空いた地面に別の種類の木が生え、やがてパイオニアツリーは姿を消す。

ラストバッターの木が育ち始める。土はふかふかとした腐植土に。落ち葉や枯れ枝、虫や動物の死がいの層だ。それらを、キノコや土のなかの虫たちが、栄養豊かな土へと変えていく。100年、200年の歳月がたち、キツネやシカ、クマも暮らすようになったこの森は、「生き物すべての家」となったのだ。

1つ1つの挿絵が、額縁されて絵画のように美しい。 (は)