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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

「かいじゅうたち」の世界へ

 

この本は伝記シリーズとなっているが、センダックの作品が社会に与えた影響についても触れら、作品論の性格も強い。それが意外な内容を含んでいたのが面白かった。たとえば『まよなかのだいどころ』主人公ミッキーが、はだかになってパンのねり粉に飛び込むシーン。アメリカでは、はだかだというのが大問題となり、ミッキーにおむつを書き足す図書館員がいたりしたというのはびっくり! 小さな男の子だし、はだか姿もシンプルに自然に描かれているのに、文化の違い!? 体が弱く、窓辺で絵を描いていた男の子が、本人はごく自然に創っている物語が、時に社会に物議をかもしつつ、認められていく。センダックは、子どもは何を考えているかということを忘れなかった。この姿勢が子どもたちに共感される絵本作りとなったのだと思う。