児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

無限の中心で

 

高校2年のとわはインフィニティ総合高校の2年生。六角形(ヘキサゴン)の形を形に校舎が配置されているので、通称ゴン校と言われている。新聞部の友人にたのまれて数学研究会の取材を頼まれる。数学なんて大嫌いなのに。イヤイヤ行った数学研究会には変わり者3人組がいた。そして彼らは、数学の解きかけの問題を解いた謎の人物のことで大騒ぎをしていた。そして、その筆跡を見たとたん、とはには見当がついてしまった。小学校時代からの変わり者。言葉もうまく出ないし、行動もおかしい偏食、だけど数学だけは妙なほど得意なナカジャンこと名島澗。高学年になるにつれて登校拒気味になって来て、なんとか高校に上がったが、今も保健室登校をしている。実は澗とはいとこ同士だが、親同士が不仲なのと、澗があまりにも異質なので一緒にされたくなくて、そのことを誰にも言っていない。数学が、ただの計算ではなく、さまざまな考え方だと知ることで、徐々に新しいものの見方を獲得して、ナカジャンともう一度いとことして仲良くなりたいと感じるようになる。基本まじめなとわのキャラは特に本好きな子の共感を呼びやすいだろう。でも、とわとナカジュンの家のトラブルの原因がとわの父が婿養子になったというのが疑問。現在の戸籍制度はどちらの姓を選んでも良いが、相手の姓になったても自動的にその家の養子にはならない。(だからいわゆる嫁に相続権がない!)、まさか、これを踏まえて、相続のために法的に養子縁組までした!?。本筋とは違うことだが、1966年生れの作家が現在の戸籍制度を理解してないのか? 今の子どもたちも知らないのか!?とふと思い、夫婦別姓論議の意味が伝わっていないのも無理ないかもとも思った。