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ゆきとトナカイのうた

 

スカンジナビア半島の北部、ラップランド地方に住む先住民族サーメの人々。トナカイを群れで飼い、いくつもの家族、村が助け合って暮らしています。トナカイのえさとなる苔を求めて移動する生活の、夏から冬、春に向かうころまでの様子を、5歳の「あたし」が語ります。

トナカイの脳みそのパンケーキや、骨のずいまで食べる煮こみなどいろいろな料理、季節ごとに決まった場所にテントの骨組みやストーブを置いたまま移動してゆくことなど、その暮らしぶりに新鮮な驚きを感じます。

そして、雪景色に映える色鮮やかな民族衣装。圧巻は、クリスマス礼拝の場面です。集う女性が身につけた赤い帽子と、緑色に塗られた長椅子のコントラストがまばゆいほど。最後は、太陽が地平線から輝きを見せ、喜びあふれる描写で結ばれます。 (は)