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伝え守る アイヌ三世代の物語

 

大阪で生まれ育ったダイキとワカナ。母親はアイヌの血をひき、祖父は北海道でアイヌ伝統の木彫りをつくっている。
大阪で、刺しゅうや料理などアイヌの文化を伝える活動をする母親。2人のきょうだいも、北海道の祖父のところへ行くと、自然のめぐみと共にあるアイヌの暮らしにふれ、その知恵や考え方を自然と受け入れている。やがて、母と2人の子は、北海道へ移住することを決め、成長したダイキとワカナは、アイヌ文化を継承してゆく決意を母に伝えるのだった。
家族三世代の10年間を追った写真絵本だが、焦点が家族にもアイヌ文化にもしぼりきれていない印象。たとえば祖父は、現代的な生活もしているように見えるし、母親がアイヌ伝統のお化粧をする写真が2回出てくるが、その意味など説明があるといいかなと思った。民族衣装や木彫り作品の見事さ、美しさ、シカを解体する場面のもつインパクトなどを考えると、もったいない。 (は)