児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

アイヌ神謡集

 

口承文芸であるアイヌ神謡(ユーカラ)を文字に書き起こし、アイヌ語と和訳をぴたり並べ対応させて著した貴重な書。知里幸恵が選んだ13篇を収める。

アイヌは、山川や動植物、雷などの自然現象、人間が作った道具なども神(カムイ)として畏敬し大切に祈りをささげる。そのカムイも人間と同じように失敗を反省したり、語り手であるカムイが醜い死に方をしたりと、善ではない側が語るという形が、和の昔話にはないイメージ。

巻末にある弟、知里真志保による解説はなかなか難しい。

本書1篇目の「梟の神の自ら歌った謡『銀の滴降る降るまわりに』」は、『カムイを射止めた男の子』でわかりやすく読めます(当ブログで2019年1月に紹介。子ども向け「イソイタク」シリーズ。アイヌ文化振興・研究推進機構)。

とはいえ、もとは謡われてきたもの。動画などでリズム感やメロディを実際に感じてみることをおすすめします。おもしろさ楽しさ心地よさが、格段に増します。 (は)