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絵本きりなしばなし

 

4話を収める。人間を食おうと大口を開けて待ち受けていたおおかみの腹を通り、速足の飛脚があっというまに駆け抜けていく「おおかみとひきゃく」。山へ柴刈りに行ったじじが二十歳の若者になって帰ってきて、若返りの滝の水を飲みに出かけたばばの方は、赤ん坊になってしまう「じじとばば」、兵衛の司が毎晩みる化け物の正体はアリとダニだったという「秋の夜」、山へ行ったじいさまの前にへびがペロッ、じいさまは鎌でチョッキリ、ペロッ、チョッキリ・・・。やがて風がぼふあ、とちのみがごろごろ、からすががあ・・・という「きりなしばなし」。

挿し絵は、素朴な黒い版画絵に朱、黄、緑の差し色が美しい。
作者の梶山俊夫さんは、これらの話を「正月もま近い夕方、おばの背中」で、「風のように」聞いたかもしれないそうです。 (は)