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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

Xをさがして

 

カイパーは11歳だけど、飛び級して2歳上の子のクラスに行っている。だが家は貧しい。母さんは元ストリッパーで今はシングルマザー、双子の弟たちが自閉症なのでその面倒をみるので手一杯。ソーシャルワーカーになにかとお世話になってる状態で貧乏だ。クラスでは浮いて友だちがいないけど、カイパーの夢は探検家。でも大人の友だちはいる。いつもおっかないけど、実は面倒見のいいウェイトレスのヴァレリーや公園で会うX(エックス)。Xはスーツケースをいつも抱えていて、秘密警察に怯えて名前も教えてくれないおばあちゃんだ。カイバーがサンドイッチを差し入れしないとちょっと心配。ところがここのところ学校ではトラブル続き、弟のことで悪口をいったティファニーと取っ組み合いをしたけど、先生が叱ったのはカイパー。ティファニーは金持ちのカワイイ先生のお気に入りだから。しかも母さんは大切な弟たちを専門の施設に入れると言い出した。おりしも学校の窓が壊され、その疑いまでかかってしまう。その時はXと一緒にいたのに! しかも母さんは「Xは、娘の空想の友人なんです」といってXの存在を信じてくれず疑ってきた。カイパーはXを探すまでは家に帰らないと決めるが、探しても探しても見つからない・・・。深刻な状況の中のタフなカイパーの姿が魅力的。とはいえカイパーは母さんに不満も持ってケンカもするが、根はまじめで成績優秀。だけど家では家事や弟の面倒をせっせとみていて、いつ勉強してるの?みたいな感じは、ちょっと都合が良すぎる気もした。なんにしても、子どもは大人に守られてまんぼです。無理せずに大人を頼って欲しい。