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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ぼくたちは卵のなかにいた

 

卵の中の世界で暮らすリュウ。幼馴染のミサキやナオトと穏やかに暮らしていた。だが、13歳になったら、この世界から外に行くか中に留まるかを決めなければならない。リュウは外に行くことを決意する。外の世界とはまさしく私たちの世界で・・・という設定。なんだかフワフワしていて最後まで納得できなかった。卵の中の世界はユートピア的だが、受験もない昭和っぽい世界で妙に人工的。そして卵から出た時に憎しみを知る場所に行くが、ここまたわかるようなわからないような。都合よく食欲も渇きもなくなるし、そしてこの世界に来た後は、子どもが行方不明になった夫婦のところですっぽりおさまるけど、これでいいの? 異世界がきちんと描けずに、この世界からの連想でなんとなくイメージで描いたようで、最後までふにおちませんでした。