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フランバーズ屋敷の人びと4 愛ふたたび(上)

 

ディックとの幸せな新しい暮らしが始まるはずだったのに、二人は微妙にすれ違う。フランバーズ屋敷の使用人も、近隣の屋敷の人々も、ディックを主人として受け入れることに抵抗感を隠さない。そしてディック自身が地主的な暮らしを嫌悪して、農場で休みなく働き、社交に出かけようとはしない。周りの人と乗馬や狩猟、社交も楽しみたいクリスチナにとっては辛いところだ。しかも、戦地に行ったマークが重傷を負った。ドロシーも戦地で感染症にかかり看護に戻れず、マークは当然のようにフランバーズ屋敷に戻ってきた。ディックにとってはこれも不快極まりないが、まともな食事もとれずに衰弱したマークを追い出すほど非道なことはできない。使用人たちは嬉々としてマークに仕え、マークは我が家のように命令を下す。板挟みのクリスチナは、たまらない気分に追い詰められてしまう。ドロシーの帰国で一息つくが、奔放なドロシーは、子どもを持つことを拒否し、わが子を欲しがるマークと徐々に溝が深まっていく。ディックを愛しているはずなのに、ディックが求める家の中で家事に専念する慎ましい妻にはおさまれないクリスチナ。身勝手だが、クリスチナが馬で駆け巡りたい情熱を共有できるマーク。読んでいて、どうするんだぁ! と絶叫しそうになります。