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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

小泉文夫

 

小泉文夫は、とにかく好奇心と行動力の人。聴きたい音楽や歌、見たい楽器や踊りがあれば、どんな僻地や山奥へも出かける。首狩り族にも会いに行く! 56歳6か月の生涯で訪れたのは、アジア各地を中心に、アフリカ、ヨーロッパ、南米アメリカ、そして、沖縄はまだパスポートが必要だったころ。フィールドワークの人生だった。

大学の講義以外にも、テレビに出たりイベントの演出を手がけたり。東京芸術大学では異端児。反感もかったが、11歳年上の妻の支えが大きかった。西洋音楽偏重の音楽教育に新風を吹きこみ、小中学校へのわらべうたや邦楽教育の導入、何より民族音楽を広く一般に知らしめることに多大な貢献をした。

氏の講義に10年通った著者が「大げさではなく百分の一くらいしか収められなかった」という、その仕事ぶりには圧倒されます。楽器の音色が視聴できるQRコード付き。 (は)