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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

音楽の根源にあるもの

 

1963~1977年に雑誌掲載された論文や講演、対談をまとめたもの。『子どもの遊びとうた』に比べて、わらべうたや民謡についてリズム、音階の分析がさらに専門的で難解でした。

1番最後の谷川俊太郎氏との対談は、興味深く読みました。谷川さんの、現代詩に「声」がない、「活字で読む」ものになっているという指摘。誰か1人のプロの音楽や詩ではなく、民族、共同体としてのものだという考えは、お二方に共通します。

また、「音楽の中の文化」という講演で、欧米に目を向けていると劣等感を持ってしまうけれど、アジアの伝統音楽を紹介するイベントを開いたら日本音楽を好きになった人がたくさんいた、「自分自身を知る」ことができたのだ、と小泉氏が述べていることは、45年たった今も切実な事実に思います。 (は)