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難民の?(ハテナ)がわかる本

 

難民の?(ハテナ)がわかる本

難民の?(ハテナ)がわかる本

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現在、世界で1億人いるといわれる難民や国内避難民について、数ページの短いコラムを読む感覚で、問題の全体を見渡せる全94ページ。

構成は、ナチスドイツによるユダヤ人迫害という、日本の中学生もよく知る歴史から始め、終盤は2016年リオ・オリパラリンピックでの難民選手団、ロシアの軍事侵攻によるウクライナからの避難民という、現在のトピックへ。

「何をもって逃げる?」「きみはだれを助ける?」と問いかける見出しや、6回に分けてはさまれるフィクション・ストーリー(総理大臣の緊急事態宣言下でつくられた「茶髪禁止法」によりオーストラリアへ出国。難民となった日本人家族・・・)が、自分事として興味をもちやすく効果的。

難民認定率が著しく低い日本が、ウクライナの人々はすぐに受け入れたし、世論も受け入れ肯定派が増えたのは「なぜだと思う?」「きみはどう思う?」。

本書をきっかけに、関連書籍に手を伸ばしたり、身近な人と話し合ったりして、難民受け入れを社会のプラスと捉える世論の醸成を促しています。 (は)