ある日げんごろうさんが拾ったのは、たたくと人の鼻を高くしたり低くしたりできる、ふしぎなたいこ。げんごろうさんは、さっそく町へ出て、金持ちの娘さんの鼻をひょろひょろと伸ばしてしまいます。
恥ずかしくて寝こむ娘さん。家の者も困り果てていると、げんごろうさんが「鼻の病気、治しましょう」としれっとやってきて、ふしぎなたいこで元に戻します。
お礼の小判をどっさりもらったげんごろうさん。ある日、自分の鼻をのばして天までのぼっていきます。ところが、かみなりたちを手伝って雨を降らすうち、足を滑らせ雲の上からまっさかさま。近江の国の琵琶湖に落ちて、魚のフナになってしまったのでした。
石井桃子さん文章の「ふしぎなたいこ」(清水崑/絵、岩波書店)でよく知られますが、こちらの”尾ひれ”がついた話もおもしろい。赤羽末吉による明るい色調と、登場人物の性格がみえるような表情(特に鬼!)が、ゆかいです。 (は)