パレスチナのビリン村に暮らすバスマ(ママ)と、ジェニン難民キャンプに暮らすマハ。同じヨルダン川西岸地区内に住みながら、会うことのかなわない2人の女性が代わるがわる語る、家族との暮らし。そこには、死と隣り合わせに生きる毎日と、ちょっとした喜び。
著者が、家族の一員のように居候しながら撮る写真は、穏やかにくつろいだ(ように見える)姿だが、文章には、イスラエルによるパレスチナ人、女性への権利侵害に耐え、抵抗し、闘わなければならない不条理が見える。
写真絵本だが、子どもには難しい。大人でも、情報が十分でなく理解の不足している地域。著者には、1人ひとり名前と顔のある個人として伝えたいという思いがあり、大家族の人々の名前がたくさん出てくるのも、ややこしさの1つ。
それでも、短い文章に多くの事実が詰まっているので、子どもと大人がともに読んで知っていきたい。 (は)