長崎の高校生から始まった2つの活動「高校生平和大使」と「高校生一万人署名活動」。その始めの7年を、長崎新聞記者と若者たちの文章でつづる。
平和大使は、1998年から国連欧州本部へ派遣されて今年は第27代目。2001年に始まった署名活動は、「ビリョクだけどムリョクじゃない」をスローガンに、集めた署名は累計200万筆を超えるそうだ。並行して2002年には、アジアの子どもたちに学用品を贈る「高校生一万本えんぴつ運動」も始めている。
本書では特に、高校・大学生の体験談がいい。核廃絶を訴えるまっすぐな使命感と情熱。しかし、アメリカや韓国、フィリピンの若者・子どもと交流する中で、戦争必要論や、日本の加害者としての側面、在外被爆者の苦しみを、生の声で聞く強烈な体験。また沖縄では、内地(本土)の人を「許さない」という感情を知る。
一方、自分を見つめる視点では、進学で長崎を離れてみて実感する周囲との温度差、平和活動一すじではなくなる生活、若さゆえに受ける注目が減っていく中でどう向き合い続けるのか、などが率直につづられている。
一般書だが、中高生に同年代としての悩みや共感、刺激を受けとってほしい。 (は)