ヘクターはいつだって問題児だ。下級生から小銭やおやつを巻き上げ、学校の食堂のスープに蛇のおもちゃを投げ入れるような悪質ないたずらをする。公園のホームレスのトーマスとトラブルになった時は、仕返しをしようとして彼のカートを池に落としてしまった。さすがにそこまでする気持ちはなかったのに。そんな時、公共のモニュメントの一部が盗まれる事件が発生! 後にはホームレスが使うという暗号が残されていた。そしてヘクターは、偶然盗難現場を目撃、犯人はトーマスだと確信して、確かめるためにホームレスのためにスープ・キッチンをしているクラスの良い子のメイ・リーに近づいた。いつも目障りだったメイ・リー。だが、彼女が母親を一年前に母親を亡くしたことを知る。そして、実際に付き合うことになったホームレスたちは、一人一人がさまざまな事情を抱えた人間だった。反抗的だが、少しづつ相手の言葉に耳を傾けるようになっていくヘクター。そして、真犯人がトーマスではないと気づき、彼らと協力して犯人をつかまえる計画を建てる。それにしても、犯人の動機の悪質さがいかにもイマドキ!(ネタバレ 地上げのためのホームレス排除)著者は、実際に子どもの頃に一人のホームレスと挨拶だけだが交流を持つようになった経験がきっかけになって、こうした人たちに目を向けるようになったという。貧困が進む日本でも、ホームレスとまではいかなくても子ども食堂などが広がっているだけに、子どもたちの興味をひくのではないかと思う。