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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

小泉八雲 日本を見つめる西洋の眼差し

 

幸せではない子ども時代から幽霊におびえる感性を持った子どもハーンは、両親との縁が薄く、叔母に面倒を見てもらうも、叔母の破産により学校を退学する。生きる場を求めてアメリカに渡り、苦労の中でも文章を書き続け、ジャーナリストとして、そして作家としての道を開いていく。彼が心を惹かれたのはさまざまな文化が入りまじる中で、恵まれているとはいえない暮らしの中でも力強く生きている人々。さすらい気質のあるハーンは、日本にたどり着き、最初に仕事を得た松江の地に残る日本の古からの姿に心奪われる。そしてそこで出会ったセツを妻に迎える。養父、養母、要祖父、実母を養っていたセツを親戚ごと引き受ける。岩波のジュニア新書と比べると、セツの経歴やセツの親族との関わりについての記述が詳しく、より私生活に触れた内容になっている。