イタリアはトスカーナの田舎町で、母と二人で暮らす森祐司は、偶然聞いた無料コンサートでフルーの音に魅せられる。幸い公立の音楽院に入学し、懸命にフルートを学ぶが、学校にはさまざまな生徒がいる。すばらしく優秀なサンドロ、豪快な先輩マルタ、本人よりも母親が熱心なリナ。はじめは楽しかったフルートだが、徐々に目的を見失っていく祐司。加えて母子家庭の環境では、本格的なフルートの購入すら難しい。7,000€(1€165円程度で約120万!)。迷いながらも、さまざまな出会いの中で、成長していく姿がとても説得力があって魅力的。あとがきによれば、著者の娘さんが、祐司のように突然フルートに魅せられ、音楽院に9年間通った経験があるとのこと。なるほど、迫力あるリアリティが生まれるわけです。音楽が好きな子には特にオススメ。