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ハリスおばさんパリにいく

ハリスおばさんパリへ行く (fukkan.com)

ハリスおばさんパリへ行く (fukkan.com)

ハリスおばさんは、イギリスでお手伝いさんとして働いている、平凡なおばさん。そんなある日、一目で気に入った美しいドレスをどうしても自分のクローゼットに欲しくなり、頑張ってお金を貯めてパリに旅立つことになった。
しかも、行く先は一目惚れしたドレスのブランド、ディオールの本店。しかし、そこでも一波乱が待ち受けていたが、ハリスおばさんの人柄のよさが、パリの人々の心を動かしていく…。

感想
ハリスおばさんの、ひたむきで正直な思いが、偏屈とおもわれたパリのファッション界の人々の心を柔らかくしていく過程は、読んでいて楽しい。むしろ、後半は住んでいるイギリスの人々より、パリの人々に対して友情を感じるほどだ。最後にはディオール本人が登場する、面白さもおまけ付き。
正直、ラストのドレスの展開には読んでいて悲鳴をあげそうになったくらい衝撃的。この悲劇的な展開を、ハリスおばさんは自分の甘さが招いたこと…と折り合いをつけようとしているが、読者が幼い場合納得できるかなぁー、と思わなくもない。(いや、私でも悔しくて泣きそうになったくらいだから。)
それだけに、花の贈り物の胸に染みることときたら…