『文学キョーダイ!!』の中で奈倉有里氏が小学校の時に読んで印象に残ったと書いてあったので読んでみた。ベトナム戦争を背景に、小学校6年のまち子ことマッチが主人公。ガイコツとあだ名されるようなガリガリの体にコンプレックスを感じ、クラスでも孤立している。女王様キャラのフッコと彼女にまとわりついているマサに誘われ、ルパンクラブに入り冒険ごっこに挑戦する。フッコへの不満を抱えているが、何もない孤立した日常はもっと嫌! 通学の電車の窓から見える白い家に訳もなく心惹かれている。閉塞感の中で何かを求める思いは当時も現代も同じだろう。そんな中、新しい英語塾の先生ミス・ミヤとの出会いで日常が動き出す。ミス・ミヤはあの白い家に入っていった。後をつけたマッチはそこで外国人と出会う。それはアメリカの脱走兵だった! 本当の秘密を知ったことをきっかけに成長するというパターンはカニグスバーグの物語のよう。成長したマッチは、フッコに従属すること拒否する。作者のデビュー作で20代半ばで書かれたこの作品、普遍的なテーマを扱ってはいるのだが、現代の子には背景を含めて理解できるだろうか? だが、当時の読者の心にしっかりと届いたことは間違いないだろう。