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呪いを解く者

 

ラディス国には〈原野〉と呼ばれる沼の森を抱えている。そこに住むのは〈小さな仲間〉をはじめとする、不思議な生き物。〈小さな仲間〉は人間に呪いの卵を授けてくれ、呪い人はその呪いを発動させてしまう。だが15歳のケレンは、その呪いを解く力を偶然の事から手に入れてしまった。相棒の少女ネトルは、ママ母の呪いからケレンが解放してサギから人間の姿に戻してからずっと同行している、呪いを解き、呪い人を赤の病院に送るケレン。だが、その呪い人たちを取り込む謎の組織が動き始めていた。人間とは異なる考え方で生きる生きものたちとの交流。呪いを解かれることを拒否してカモメのまま留まるネトルの兄ヤニック。一人一人の登場人物が個性的で、人間が支配できない原野の世界が、忘れられないイメージを残す。呪いを解いていたケレンが、その先を見つける結末が、とても魅力的だった。