児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ラモーナは豆台風

 

ラモーナは豆台風 改訂新版 (ゆかいなヘンリーくん)

ラモーナは豆台風 改訂新版 (ゆかいなヘンリーくん)

 

 ラモーナは5才になりました。今日は待ちに待った幼稚園に行く日。お姉さんのビーザスみたいにいっぱい勉強して、もううちの中の末っ子だからって赤ちゃん扱いさせないぞと息巻いています。担任のビネー先生は若くてきれいな女の人。ラモーナはすぐに大好きになります。でもラモーナは、何かと”問題”を起こし怒られたりほめられたり、その度に先生を好きになったり嫌いになったり、忙しく一喜一憂します。

くるくるカールしたスーザンの髪がうらやましくて引っ張ってしまったり、買ったばかりの長ぐつで泥に入って出られなくなったり、ビネー先生が休んで代わりの先生が来た時は運動場の隅に隠れて授業ボイコットをしたり。ラモーナにしてみれば、自分のその時の気持ちに正直なだけなのです。

誰もが通る道で、自分はこんなことはしないなと思う子でも、ラモーナにうまくいってほしいと思わせる魅力があって、ラモーナからシリーズにはまる子もいます。 (P)

こんにちはといってごらん

 

 子ネズミのバネッサはとてもはずかしがりやで、友だちがひとりもいません。友だちをつくるなんて世界で1番おっかないことだと思っているのです。学校では先生に出された問題の答えがわかっても、はずかしくて手を上げることができません。お母さんに「ひとりぼっちの子を見つけて『こんにちは』と言ってごらん」と言われてやってみますが、最初は声が小さすぎ、次は大きすぎて失敗。でもある日、先生の問いかけに思いきって手を上げて答えることができました。そしたら放課後に、オオジカのクィンシーが声をかけてくれて、2人は仲良しの友だちになったのです。
子どもの緊張感が伝わって、家でのお母さんの励ましにほっとする。毎ページに挿絵があるので、親子の読み聞かせにも、1人で読み始めた子にもおすすめです。 (は)

ぼくの帰る場所

 

ぼくの帰る場所 (鈴木出版の児童文学 この地球を生きる子どもたち)

ぼくの帰る場所 (鈴木出版の児童文学 この地球を生きる子どもたち)

  • 作者:S.E. デュラント
  • 出版社/メーカー: 鈴木出版
  • 発売日: 2019/10/30
  • メディア: 単行本
 

 AJの中学入学直前、おじいちゃんが突然死んでしまった。AJの両親は普通の人とはちょっと違う。母さんはとても優しいし、父さんもいつも穏やかだが、二人とも難しいことはできない。家計の管理や、請求書の払い込みなどは全部おじいちゃんがやってくれていた。請求書が届いても父さんも母さんもどうしていいのかわからない。母さんの妹ジョセフィーンは近くに住んでいて、いとこのアイシャはよくうちであずかる。でももうすぐジョセフィーンには2番目の赤ちゃんが生まれるから、心配かけるわけにはいかない。走るのが得意で大好きなAJだが、小さくなってしまったランニングシューズのせいでうまく走れない。かといって家にお金の余裕があるとは思えない。だが、幸いヒギンズ先生は事態に気付いてくれて、忘れ物の靴の整理を手伝わせ、引き取り手のない古い靴の中から合う靴をAJにくれた。おかげで思いっきり走れるようになったAJは選手に選ばれる。だが、家ではトラブルが続く。電気メーターに入れるコインがなくなり両親は途方にくれていた。AJはシューズを売ってお金を手に入れるが、誰にも言えない。トラブルがわかれば両親から離されて施設に入れられてしまうのが怖いのだ。シューズがなくなったことを言えないまま試合をさぼり、ヒギンズ先生が家庭訪問に来て全てがバレてしまうのだが、結果的にはさまざまな誤解が解けて解決する。走るライバルのアミット。ちょっと生意気なアイシャ。おばの夫でそりが合わないと思っていたタイラーの意外な素顔。そして大切なおじいちゃんのさまざまな思い出。たしかにAJの置かれている状況は困難だけど、それをさらにややこしくしているのは、彼の思春期の屈折した自意識過剰や思い込みもあって、それはどの子にもある。特別だけど、特別ではない一人の男の子の物語として共感できる。

マイケルとスーザンは一年生

 

マイケルとスーザンは一年生

マイケルとスーザンは一年生

 

 町に住むマイケルと田舎の農場に住むスーザン。2人は偶然6才の誕生日に出会い、友だちになります。町の同じ学校に入学すると知った2人。いよいよ学校生活が始まります。スーザンはお弁当のお金をなくしてしまったり、マイケルは2年生にからかわれておねえちゃんに助けてもらったり、都会から来た転入生が地下を走る鉄道の話をしたときにはみんなびっくりしたり。徐々に学校生活にも慣れて、やがて春。クラスみんなでスーザンの農場へ遠足に出かけます。牛やブタ、にわとりを見て、新鮮なミルクでお弁当。みんなでたくさん思い出のできた1年間を振り返ります。エピソードが淡々とつづられて、茶と緑色のみの挿絵はしゃれた感じです。  (P)

わたしもがっこうにいきたいな

 

わたしもがっこうにいきたいな

わたしもがっこうにいきたいな

 

レーナは5才。毎日がっこうごっこをして遊んでいます。ある日お兄ちゃんのペーテルが、本当の学校に連れて行ってくれると言います。レーナは大喜び。ペーテルはレーナの手を引いて学校まで行くと、みんなに「妹のレーナだよ」と紹介しました。レーナはお休みの子の席に座らせてもらって授業を受けます。理科の時間、鳥のはく製を見て「ズアオアトリ」という名前を答えられたので大得意。休み時間に遊んだり、食堂で給食を食べたり、大満足の1日を過ごしたのでした。
描かれている子どもたちの行動、しぐさ、表情が様々でいきいきとして、自分を重ねられる子がきっと見つけられます。   (P)

ロッタちゃんとじてんしゃ

 

 ロッタは自分のおんぼろ三輪車よりも自転車がほしいと思っていました。ヨナスにいちゃんとマリヤねえちゃんが風を切って走っているのがうらやましいのです。そこで秘密の計画をたてました。まもなくやってくる5才の誕生日に自転車がもらえなかったら、隣のベルイおばさんの物置から自転車をかっぱらうのです。そしてロッタは決行しました。その古くて大きな自転車にまたがって坂の上からビュー!ロッタは垣根につっこんでバラの茂みに投げ飛ばされました。頭にたんこぶ足には切り傷。ベルイおばさんはやさしく手当てしてくれましたが、これでは最悪な誕生日です。しょげかえってにいちゃんねえちゃんが遊んでいるのを見ていると、パパが小さな自転車を引っぱって帰ってきました。それは中古だけれどロッタにぴったり!すばらしい誕生日になりました。
文庫では4才の女の子が大のお気に入り。ほかに選ぶ絵本に比べるとずっと文章量が多いのに何度も何度も借りて、ある日とうとう「買ってもらった!」とうれしそうでした。挿絵はロッタの魅力を余すところなく表現していますし、庭に咲くりんごや桜、ライラックの花々もとても美しいです。   (P)

ぼくの庭ができたよ

 

ぼくの庭ができたよ
 

春、ぼくたち家族は広い庭のある家に引っ越してきた。庭の中に自分の場所をもらったぼくと妹。ぼくはいろいろな花を、妹のカロリーネは食べられる野菜を育てることにした。隣のマンションに住むルーカスは植物や虫、鳥のことをよく知っていて、種のまき方や育て方を教えてくれる。ぼくたちは庭に友だちをよんで、春は花、夏は青々とした葉っぱの下でパーティー、秋には焼きぐり、冬は雪遊びを楽しんだ。
花や鳥、虫など庭の四季の変化が美しく描きこまれています。新訳の「庭をつくろう!」(ふしみみさを訳、あすなろ書房)よりこちらがおすすめ。たとえば、隣のマンションのルーカスは車椅子に乗っているのが絵を見るとわかるが、新訳では、交通事故にあったからなんだと話すくだりがあるなど、筋には関係ないキャラクター描写がちょこちょこ挟まれて余計に感じます。   (は)