児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

世界の家 世界のくらし 2トイレ・お風呂 SDGsにつながる国際理解

 

SDGsの2,6,9.11にかかわるテーマとして世界のいろいろなトイレ、何を使っておしりをふくか、公衆トイレなどを紹介。併せてお風呂も紹介している。いろいろなトイレをランダムに並べてある感じで「こんなふうにいろいろあるんだ」とは思うが、それなりの背景(風土、宗教や歴史の影響)に触れられていないので、そのまま読み流してしまいそう。また日本のトイレも和式トイレの紹介がない。確かに今は洋式が主流だが、まだ和式を使っている家庭もあると思うのでもう少し戦後の日本のトイレ変化くらい紹介しても良かったのでは、と思った。

トイレのおかげ

 

トイレという誰もが必要な場所について、まず恥ずかしがらないことをスペインのガガネーというトイレで腰掛けおしりを出している人形やベルギーの小便小僧の像からはじめ、いろいろな時代や国のトイレを紹介、飛行機や宇宙船のトイレの仕組みまで紹介している。現在の日本の快適なトイレについても、単純に賞賛するのではなく、水をたくさん使ってしまうという問題点を指摘している。ともすれば子どもが恥ずかしがる問題を明るく語ってくれてうれしい。

梨の子ペリーナ

 

文章は多いが、物語がとてもしっかりしているので、読み聞かせてあげれば5歳位から楽しめるだろうし、高学年の子でも満足する物語。王さまに差し上げる梨の不足分の代わりにかごに入れて王宮に届けられた女の子は、ペリーナ(梨の子の意)と名づけられて王宮の下働きになる。みんなに好かれ、王子とも仲良しになるが、ペリーナをねたんだ召使のせいで魔女の宝物を取りにいかなければならなくなってしまう。不思議な助け手や3回の繰り返しなど、昔話らしくわくわくさせる物語。

SDGsのきほん 労働と経済

 

労働問題と経済成長を取り上げた巻。でも例えば「働きがいも経済成長も」とは? というページでは、ベトナムの電子部品の工場の写真が出ているが、パーツを貼り付ける作業を見て、これが働き甲斐のある仕事?(経済成長はもたらしてくれるだろうけれど)と思ってしまった。児童労働、ワーキングプアなどの項目についても、用語解説的な説明で、そうなった社会的な背景などは解説されていない。用語はわかるが、解決は自分で考えましょうという本かな?

わきだせ! いのちの水

 

大野篤志さんは、交通事故で大けがをしたことをきっかけに、自分の生き方を考えた。そんな折、アフリカで上総掘りという機械を使わない伝統工法で井戸を掘るプロジェクトを知る。祖父が上総掘りの名人だったということを聞いていたこともあり、そのボランティアに志願した。試行錯誤をする中で。部品を現地で手に入るものに置き換え、名称も現地で通じる英語とし、現地の人間にやり方を教えた。だが、名称や部品が変わることで上総掘りとはいえないと指摘されたり、せっかく育ててあとに残した現地の技術者が、井戸掘りがうまくいかなかったことをきっかけに部品をもって消えてしまう事件も発生する。さまざまな苦労をしながら基本はボランティア(本業は保険代理店)で続けた大野さんはすごいが、それを可能にした背景ももうちょっと知りたいきがした(本業をどうやって行ったのか、私生活はどう営んだのかなど)。その地にあった、継続可能な技術での支援の重要さを思う。

ホッキョクグマくん、だいじょうぶ?

 

温室効果ガスの説明を、絵本と言うビジュアルな媒体を活かし、目に見える形で説明することを工夫している(例えば世界中の車を3台づつ並べて積み上げたら、月に届くタワーがふたつになるとか)。ただ、一方、地球温暖化によるホッキョクグマへの影響については、氷がとけるとアザラシをとるのがむずかしくなると書いてあるが「なぜアザラシを獲るのが難しくなるのか?」の具体的な説明がないのが気になる。

わたし8歳、カカオ畑で働きつづけて

 

世界中のさまざまな児童労働の実態と、それをどう改善したらよいのかを提示。低賃金で、もしくは売られたり、親の借金のせいで無収入で過酷な単純労働、重労働に従事させられ、暴力や性的な搾取も受けている状況を知らせる。印象的なのは、著者たちが「日本の子どもは何をして働いているの?」と著者たちが言われたというエピソード。働いている子どもたちは、仕事をしていない子どもを想像できないということが恐ろしい。また。子ども組織の中から「人として尊厳を保てるような仕事については認めてほしい」という声が出たという事。子どもが働かなければ事実上家族が飢える貧困を放置しても解決はしないし、子どもたちも家族を飢えさせたくないとプライドを持って訴えている。子どもを学校に活かせると給食や家族の食料を渡す仕組みや、フェアトレードの仕組みなどとセットであることはとても重要。子どもたちの労働の背後に、それで利益を得ている私たちがいることを認識するのは大切。