リクエストが来たとき、当初、なんじゃらほい、と思い、なんだか怪しいなあと思っていたことは事実。
でも、意外とおもしろい。
関ヶ原の合戦の登場人物を動物に置き換え(家康はタヌキ、三成はサルに)、あとはほぼ史実をなぞる合戦絵巻である。イノシシだの、カエルだの、ウニだの、クリだのと、ほとんど意味不明なバラエティに富んだ動物が、ウォーリーさながらごちゃごちゃと書き込まれ、所々でぼやきつつ、関ヶ原を戦っている。
ポンチ絵、という言い方がぴったりくるような、力の抜け加減があって、戦争を扱ってはいるが、深刻さはみじんも感じられない。
置き場所はむしろ歴史の方がいいのではないかとも思える。その方が意味がはっきりわかるだろう。
歴史物をいくつか読みながら思ったのは、本当に戦場にいる人たちには、自分たちがどこで何をしているかなんて分かりようがないのだろう、という事だった。その点、雲のたなびく関ヶ原を上空から眺めて、あちこちでこけつまろびつしている戦場を一目に置く視点というは、本質的にフィクションだ。同時に、学校で歴史の時間に習う「歴史」は大概そういうものだった。日本地図を赤と青に塗り分けて、赤が勝ったとか負けたとか。それがいいかどうかは別にして、それもまた歴史の一つの学び方。だとすれば、この本は十分に、「歴史」の本として有効なはずだ。