はみだしインディアンのホントにホントの物語 (SUPER!YA)
- 作者: シャーマンアレクシー,エレンフォーニー,Sherman Alexie,Ellen Forney,さくまゆみこ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/01/27
- メディア: ハードカバー
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コミカルな文体のわりに、内容は深刻な人種問題をあつかっています。途中途中のイラストが面白いので、ちょっと油断しました。
アメリカのインディアン保留地に住む主人公とその家族は、楽にならない生活に不満はあるものの、そこから抜け出す事を最初から諦めています。
ある日、白人が多く住む地区の学校に転校することを決意した主人公は、様々な壁にぶち当たります。わかりやすくいじめに合うとかではなく、自分の存在がなかったことにされてしまう孤独も初めて体験します。しかし、理解者を増やしていき自分のやりたい事を見つけていく主人公の成長する姿は(ちょっとありえないくらい突飛な部分もあるけど)読んでいて爽快でした。
ただ、この物語に秘められた陰鬱さは「インディアン保留地を出ていくものを裏切り者として否定するのは、同じインディアン」の仲間であることの複雑な構造を描いている部分です。こういう深刻で、苦みのある描写を逃げないで、しかも陰気になりすぎない程度に描くというのは凄いことだと思いました。